乳幼児の抗生物質使用がアレルギー疾患のリスク増加に関係?最新研究から見える注意点

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抗生物質の「知られざる副作用」に注目が集まる

子どもの発熱や感染症に対して、抗生物質を処方されることは決して珍しくありません。とくに乳幼児期には、肺炎や中耳炎などで抗生物質が使われる機会が多くあります。しかし、近年の研究により「抗生物質の過剰使用は、子どもの将来の健康に思わぬリスクをもたらす可能性がある」という重要な事実が明らかになってきました。

この記事では、2024年に医学誌『The Journal of Infectious Diseases』に掲載された大規模研究をもとに、「乳児期の抗生物質使用がアレルギー疾患や知的障害などのリスクにどう影響するのか」を詳しく解説します。


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抗生物質はなぜリスクと関係するのか?|腸内マイクロバイオームの破壊

抗生物質は本来、細菌感染に対抗するための薬ですが、同時に腸内の「善玉菌」も一緒に死滅させてしまう性質があります。とくに生後間もない乳児は、腸内マイクロバイオーム(腸内細菌叢)が発達途中にあり、この時期に抗生物質を繰り返し使用すると、そのバランスが大きく乱れる可能性があるのです。

研究者たちはこの腸内細菌のバランスの乱れが、免疫系の過剰反応=アレルギー反応の引き金になるのではないかと指摘しています。また、近年では腸内環境が脳や神経の発達にも影響を与えることが分かっており、知的障害や行動の問題とも関係している可能性があると考えられています。


英国100万人の子どもを追跡調査した大規模研究

今回の研究では、1987年から2020年にかけて英国で収集された電子カルテデータを使用し、100万人以上の乳幼児を対象に、出生から2歳までの抗生物質の使用歴と、12歳までの健康状態との関連性を分析しました。

主な分析ポイント:

  • 抗生物質使用のタイミング:出生から2歳まで
  • 観察された疾患
    • アレルギー(食物アレルギー・アレルギー性鼻炎・喘息)
    • 自己免疫疾患(1型糖尿病、セリアック病など)
    • 神経発達・精神疾患(自閉症、ADHD、不安障害など)
    • 知的障害

この調査では、対象者の兄弟での比較(兄弟一致解析)や、地域の社会経済的背景の影響を排除するための統計的調整も行われ、可能な限りバイアスの影響を取り除いた信頼性の高いデータが得られました。


抗生物質使用とアレルギー疾患のリスク増加

この研究で最も顕著だったのは、乳幼児期の抗生物質使用と「アレルギー疾患」との関連です。

観察されたリスクの増加:

  • 食物アレルギー:リスクが33%増加(HR=1.33)
  • アレルギー性鼻炎:6%増加(HR=1.06)
  • 喘息:24%増加(HR=1.24)

とくに複数回にわたって抗生物質を使用した子どもでは、これらのリスクがより顕著に高まる傾向がありました。


自己免疫疾患や精神疾患への影響は限定的

一方で、自己免疫疾患(セリアック病、若年性関節炎、1型糖尿病など)や神経発達障害(自閉症スペクトラム障害、ADHDなど)、精神疾患(不安障害など)との関係については、明確な関連性は見られませんでした。

このことから、「抗生物質がすべての疾患のリスクを高めるわけではない」という重要な示唆も得られました。


注目すべき知的障害との関係

意外な発見として、抗生物質使用と「知的障害」との関連も指摘されました。

抗生物質の投与回数と知的障害リスク:

  • 1~2回の抗生物質投与:基準値
  • 5回以上の投与:リスクが73%増加(HR=1.73)
  • 兄弟比較でも同様の傾向(HR=2.79)

つまり、用量依存的に知的障害のリスクが高まる傾向が見られたということです。


専門家の見解:抗生物質は「慎重に使うことが重要」

この研究を主導したラトガース大学のダニエル・ホートン氏は、次のように述べています。

また、抗生物質が必要ないケース(ウイルス性の風邪や軽い感染症など)では、自然治癒を待つことも重要であると付け加えています。


まとめ:抗生物質は「万能薬」ではない

抗生物質は感染症治療に不可欠な薬ではありますが、乳幼児期に頻繁に使用すると、将来的なアレルギー疾患や知的障害のリスクを高める可能性があることが、今回の研究により明らかになりました。

ポイントをまとめると以下の通りです

  • 抗生物質の過剰使用は腸内マイクロバイオームを破壊し、免疫異常を招く可能性がある
  • 食物アレルギー・喘息・アレルギー性鼻炎との関連性が高い
  • 自己免疫・発達障害とは明確な関係なし
  • 知的障害との関係には注意が必要
  • 医師と相談し、必要なときにだけ使うべき

子どもの健康を守るためには、「使うべき時に、正しく使う」ことが何よりも重要です。特に乳幼児期は、体の土台をつくる大切な時期。保護者として、医療の力を正しく理解し、慎重に活用していきたいものです。

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