週にわずか8杯のアルコールが認知症の原因となる可能性があると研究結果

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週にわずか8杯のアルコールで認知症リスクが上昇?最新研究が警鐘

アルコール摂取が健康に与える影響については長年議論されてきましたが、最新の研究により、「週にわずか8杯のアルコール飲料」が将来的な認知症リスクの一因となる可能性があることが明らかになりました。

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大量飲酒と脳の損傷との関係

ブラジル・サンパウロ大学の研究チームが発表した新たな調査によると、大量のアルコールを摂取していた人は、記憶障害に関係する脳損傷を発症するリスクが高いことが示されました。この研究は、死亡後の1,781人の脳組織を調査したもので、死後の平均年齢は75歳でした。

飲酒習慣と脳病変の相関

研究者たちは、被験者の家族にインタビューを行い、生前の飲酒習慣を確認。その上で、脳内の病変(特に「硝子動脈硬化症」)やアルツハイマー病に関連するタウたんぱく質の蓄積を分析しました。

その結果、以下のような傾向が明らかになりました:

  • 飲酒経験のない人の40%に脳の損傷が認められた
  • 中程度の飲酒者では45%
  • 大量飲酒者では44%
  • 元大量飲酒者では50%

さらに、大量飲酒者はアルツハイマー型認知症のバイオマーカーである「タウのもつれ」を持つ確率が41%高く、元大量飲酒者でも31%高い傾向がありました。

アルツハイマー病、65歳以上の高齢者に急増中――今後さらに深刻化する恐れ

公益財団法人「認知症予防財団」などの推計によると、2023年時点で日本国内の65歳以上のおよそ600万人が認知症を患っており、その半数以上がアルツハイマー型認知症とされています。今後、高齢化の進行に伴い、2040年にはおよそ800万人に達すると見込まれています。

これは、65歳以上の5人に1人が認知症になる計算です。医療専門家たちは、効果的な予防法や治療法の進展がなければ、認知症患者の数はさらに増加すると警鐘を鳴らしています。

アルツハイマー病がもたらす脅威とは?

アルツハイマー病は、認知症の中で最も多いタイプであり、日本人の死亡原因トップ10に入る深刻な病気です。医療の進歩により、心疾患や脳卒中など他の疾患による死亡率が下がる中、アルツハイマー病関連の死亡数は増加傾向にあります。

アルツハイマー病は、以下のように進行していきます:

  • 脳の萎縮と神経細胞の死滅
  • 記憶力、判断力、言語能力の著しい低下
  • 時には家族の顔や自分の名前すら思い出せない状態に
  • 最終的には、脱水症・栄養失調・感染症などによる合併症を経て死に至るケースも

この病気は、患者本人だけでなく家族や介護者に大きな身体的・精神的負担をもたらすことから、社会全体での対策と理解が不可欠です。

大量飲酒者は平均で13年早く死亡

この研究では、大量飲酒者が飲酒をしたことのない人と比べて平均して13年も早く亡くなっていることも示されています。

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専門家の見解

この研究には関与していないジョージ・ワシントン大学の救急医であるリーナ・ウェン氏は、「特に元大量飲酒者に持続的な脳損傷の兆候が見られたことは重要な発見」と述べたうえで、「ただし、リスクは飲酒を止めることである程度低下する可能性がある」とも指摘しています。

ウェン氏はまた、この研究がアルコール消費の持続期間や摂取パターン(一晩に数杯 vs 散発的な大量飲酒)を明確に区別していない点を研究の限界として挙げています。

米国のガイドラインとアルコール摂取量の目安

アメリカの食事ガイドラインによれば、21歳以上の男性は1日あたり2杯まで、女性は1杯までのアルコール摂取が推奨されています。今回の研究結果は、週に8杯(例:毎日1杯強)という「一般的な飲酒量」でも、脳に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆しており、飲酒習慣の見直しが求められています。

公衆衛生へのインパクト

研究責任者であるアルベルト・フスト氏は、「大量飲酒は脳の健康に長期的な影響を与え、記憶力や思考能力を低下させるリスクがある」と述べています。彼は「アルコールと脳の関係を理解することは、公衆衛生の意識向上や予防策の強化に不可欠だ」と強調しています。


飲酒習慣の見直しが脳を守るカギに

この研究は、大量飲酒が脳の損傷や認知機能の低下につながる可能性を裏付けるものであり、週に8杯程度の「一般的な飲酒」でも安心できないことを示しています。

健康的な生活を送るためには、飲酒量の管理と脳への影響を正しく理解することがますます重要となっています。特に中高年層においては、脳の健康を保つためにも、飲酒習慣の見直しが必要です。


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